逆SST例題集

(注)
本ページにある問題や逆SST、出題者についての誤解を生む利用、逆SSTの目的や理念に反した利用を防ぐために、ここに掲載された問題をイベントやセミナー、講義、出版などの公共性のある場所で利用する際には、必ず事前にcontact[あっとまーくをつけてください]sst-r.netまでご連絡ください。

また、本問題を書籍等で引用される場合には、必ず本HPのURLを明記するようにしてください。
例:一般財団法人発達支援研究所(2023). 逆SST例題集(飲み会問題)http://sst-r.net/sstrexample/(2023.9.30確認)

飲み会問題

私はとってもお酒が大好きです。特別お酒に強いということでもないのですが、居酒屋に行くと大好きな揚げ物などの力も借りてついつい飲みすぎてしまいます。
 しかし、同窓会や歓迎会などお酒の場に誘われても、私が「行きます」と返事をすることはまずありません。念のために「本当に行かないの?」と同僚に確認されても「行かないです」とお返事するのが常です。
*第1回「逆SSTをやってみよう」イベントで出題された問題です。

(問題)さて、私はどうしてそんな返事をするのでしょうか?

(イラスト)大内雅登

(質問-回答の例)解答者・オーディエンスからの質問と出題者の回答の一覧表はこちらをクリック

(語り手の答えと解説)…クリックしてください。答えが開きます。

正解は「本当に参加していいのか分からないから(確信が持てないから)」になります。

お酒を飲むことは好きです。また、同窓会や歓迎会などの飲み会は、コミュニケーションの場だという考えももっていて、そこでコミュニケーションをとることも、特に私にとっては苦痛には感じられません。本心では、とても参加したいと思っています。

しかし、自分が参加しているときに、自分が楽しんでいたとしても、ほかの人が楽しんでいるかどうか、楽しんでいるのはひょっとして自分だけで、ほかの人は引いていたり、私が邪魔になっていたりするんじゃないか、ということが判断できないと思っていて、その点が不安に感じられるのです。

そこで、まず「行かない」と言ってみて、それでも同じ人が3回ぐらい誘ってくれる、といったようであれば、たぶん私は邪魔になっていないのだろうという認識がもてるので、参加しようという風になれると思います。しかし、同じ人の誘いでも別々の人からの誘いでも、3回ぐらい誘って断られれば「そんなに行きたくないんだろう」と確信されてしまうと思いますので、ギリギリで私のほうが折れて「やっぱり行こうか?」と聞いたとしても、「あ、いいよ、いいよ無理しないで」と言われて断られます。そのため、結果的には参加できないことになる、ということです。

コーヒー問題

大学を出てから、よくコーヒーを飲むようになりました。仕事場には常に缶コーヒーやペットボトルのコーヒーを持って出社します。喫茶店に行くことも大好きで、メニューにウインナーコーヒーがあれば大喜びで注文します。甘いコーヒーが大好きなんです。しかし、今日も私はブラックコーヒーを持って職場に向かいます。胃が弱く、痛みや気持ち悪さで飲み切れないまま持ち帰ることも少なくありません。
*第1回「逆SSTをやってみよう」イベントで出題された問題です。


(問題)さて、私はどうしてブラックコーヒーを飲むのでしょうか?

(イラスト)大内雅登

(質問-回答の例)解答者・オーディエンスからの質問と出題者の回答の一覧表はこちらをクリック

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正解は「自分が飲んでいる飲み物に対するほかの人の評価がわからないので、ブラックコーヒーであれば、大人の飲み物として無難な評価をもらえるだろうから」になります。

第1問目で、飲み会に誘われた時に、自分の評価がどうであるか分からないがために、参加できないでいました。同じように、コーヒーの種類が多すぎて、どれを飲んだらほかの人から見てどういう評価になるか、どのコーヒーを飲んだらほかの人から怪訝な顔をされたり不思議がられたりといった評価になるのか、が全くわからないんです。そもそも、コーヒーを飲んでる人を見て誰も評価なんかしてないだろう、と思われるかもしれませんが、そこを気にせずにいられないのです。

従って、ブラックコーヒーを飲んでいると、「男の人ってブラック好きだよね」ぐらいに思われて、特段変な評価にならないので、いろいろなコーヒーを飲んで、そのたびにほかのひとからいろいろな評価をされるよりも、自分の方から評価の方を固定させていきたいというふうに考えて、好きでもないブラックをいつも飲んでいます。 簡単に言ってしまうと「大人の味だから」になると思いますし、あるいは、オーディエンスからも出た「大人対応と思われるというのが関係ありますか」も正解だと思いますが、ただし、私が「大人っぽいイメージを作りたい」と考えていたり、「かっこいい大人のイメージ」にあこがれているといったことからくるものではなく、自分が大人であり、その大人が飲む飲み物として変な評価にならないものということで飲んでいるという点は、ご理解いただければと思います。